初めてのモロッコ旅行、楽しみな気持ちと同じくらい「失敗したくない」「現地の人に失礼なことをしてしまったらどうしよう」という不安もありますよね。
特にモロッコはイスラム文化とベルベル文化が色濃く残る国。私たち日本人には馴染みのない習慣やマナーがたくさんあります。知らずにやってしまった行動が、現地の人にとっては大きな失礼にあたることも…。
でも逆に言えば、基本的なタブーさえ知っておけば、安心して旅を楽しめるということでもあります。
ここでは女子ひとり旅目線+実体験を交えて、「モロッコで絶対やってはいけない行動10選」を詳しくまとめました。これさえ読んでおけば、文化的なトラブルを避けて、現地の人とも良好な関係を築けるはずです。
モロッコの文化的背景を理解しよう
まずはタブーの背景にある文化を理解することが大切です。
イスラム教の影響
モロッコ人の約99%がイスラム教徒(主にスンニ派)で、日常生活の多くがイスラム教の教えに基づいています。
イスラム教の基本的な価値観
- 神(アッラー)への敬愛と礼拝の重視
- 家族と共同体の絆を大切にする
- 清潔さ(身体的・精神的)への重視
- 節度ある行動と言動
- 他者への敬意と思いやり
ベルベル文化の影響
モロッコにはアラブ系の他に、先住民族であるベルベル人(アマジグ人)の文化も深く根ざしています。
ベルベル文化の特徴
- 伝統的な家族制度とコミュニティ
- 長老への敬意
- 客人をもてなす「ホスピタリティ」の精神
- 自然や祖先への敬意
これらの文化的背景を頭に入れて、以下のタブーを見ていきましょう。
1. モスクに無断で立ち入る
基本ルール
モロッコのモスクの大部分はイスラム教徒以外立ち入り禁止です。これは宗教的な聖域を守るための重要なルール。
観光客が見学可能な主なモスク
- ハッサン2世モスク(カサブランカ)- ガイドツアーあり
- 一部のモスクの外観のみ
注意ポイント
- 入り口付近での撮影も控えめに
- 礼拝の時間帯は特に静かに通り過ぎる
- 靴を脱いで入る場所かどうか分からない時は入らない
- 「Tourist Welcome」などの表示がない限り入らない
2. 礼拝中に近づいたり撮影する
礼拝の神聖さを理解する
イスラム教では1日5回の礼拝(サラー)があり、特に金曜日の集団礼拝(ジュムア)は一週間で最も重要な宗教行事です。
礼拝時間の目安
- ファジュル(夜明け前)
- ズフル(正午過ぎ)
- アスル(午後)
- マグリブ(日没後)
- イシャー(夜)
やってはいけないこと
- 礼拝中の撮影:写真・動画問わず絶対NG
- 大きな音を立てる:会話や足音も控えめに
- 礼拝者の前を横切る:迂回して通る
- 礼拝用マットの上を歩く:神聖な場所として扱う
私の体験談
フェズの旧市街で金曜日の午後に散策していた時、突然多くの男性がモスクに向かって歩いているのを見ました。金曜礼拝の時間だったんです。観光客としてその光景は興味深かったのですが、カメラは仕舞って静かに見守りました。地元の人からの視線も温かく、文化を尊重する姿勢を評価してもらえたように感じます。
3. 軍・警察施設や敏感な場所を撮影する
撮影禁止の場所
絶対に撮影してはいけない場所
- 軍事施設・基地
- 警察署・検問所
- 政府関連建物
- 国境付近
- 空港の保安エリア
見分け方のコツ
- 「撮影禁止」マークがある場所
- 制服を着た警備員がいる建物周辺
- カメラを向けた時に制止される場所
- 地元の人が「ダメ」のジェスチャーをする場所
トラブルを避けるために
撮影前に必ず周囲を確認する習慣をつけましょう。分からない時は近くの人に「フォト?オッケー?」と確認するのが一番安全です。
4. 地元の人を無断で撮影する
撮影マナーの基本
モロッコの人々、特に女性や年配の方は写真を撮られることを嫌がる場合が多いです。これは宗教的な理由だけでなく、プライバシーの問題でもあります。
正しいアプローチ方法
撮影したい時の手順
- まずは笑顔で「ボンジュール(Bonjour)」「サラーム(السلام)」と挨拶
- カメラを指差して「フォト?」と確認
- 相手が頷いたら撮影
- お礼を言って、可能であれば少額のチップ(10-20MAD程度)
撮影を避けるべき人
- ニカブやヒジャブを着用している女性
- 明らかに観光客を避けている人
- 子どもたち(保護者の許可が必要)
- 仕事中の人(邪魔にならない程度に)
私の体験
女性が手作業で美しい絨毯を織っている姿に感動し、言葉は通じませんでしたが、ジェスチャーで撮影の許可を求めたところ、快く応じてくれました。撮影後に小銭が無かったので、飴を数個をお渡しすると、とても喜んでくれて、最後には投げキスまでくれました♡

5. 露出度の高い服装で歩く
服装の基本ルール
モロッコは比較的寛容な国ですが、イスラム文化を尊重した服装を心がけることが大切です。
避けるべき服装
- タンクトップやキャミソール
- ショートパンツや短いスカート(膝上)
- 胸元が大きく開いた服
- 体のラインが強調される服
- 透ける素材の服
おすすめの服装
- 長袖または7分袖のシャツ
- ロングパンツやマキシスカート
- カーディガンやストール(体温調節にも便利)
- スニーカーやサンダル(歩きやすいもの)
場所による使い分け
観光地・ホテル 比較的自由な服装でOK。ただし極端に露出の多い服は避ける。
旧市街・スーク より保守的な服装を心がける。特に金曜日は注意。
リゾート地(アガディールなど) ビーチウェアも可能。ただしビーチ以外では控えめに。
宗教的な場所 必ず肌の露出を控え、頭にスカーフを巻く場合も。
便利アイテム
大判ストール
- 肩や腕を隠せる
- 頭に巻いてヒジャブ風にもできる
- エアコン対策にも
- 現地で買うのも楽しい
軽いカーディガン
- さっと羽織れる
- 体温調節に便利
- 様々な服装に合わせやすい
6. 左手で物を渡す・受け取る
左手のタブーについて
イスラム文化では、左手は「不浄の手」とされています。これは宗教的な清潔概念に基づくもので、日常的な習慣として根付いています。
右手を使うべき場面
- 食事:食べ物を口に運ぶ、人に渡す
- 握手:初対面の挨拶
- お金のやり取り:支払いやお釣りの受け取り
- 物の受け渡し:お土産、名刺などを渡す・受け取る
- 指し示す:方向を示したり、何かを指す時
実践のコツ
最初は慣れないかもしれませんが、意識していれば自然と身につきます。私も最初は忘れがちでしたが、現地の人の行動を真似しているうちに習慣になりました。
例外的な場面
怪我をしている場合や、両手がふさがっている場合は、現地の人も理解してくれます。完璧を求めすぎず、「心がける」ことが大切です。
7. 足の裏を人に向ける
足のマナーについて
足の裏は「汚い部分」とされ、人に向けるのは失礼な行為です。特に座っている時の足の向きには注意が必要。
注意すべき場面
カフェやレストラン
- 椅子に座る時は足を床につける
- あぐらをかく場合は足裏を相手に向けない
- 足を組む時も相手側を避ける
リヤドやゲストハウス
- 床に座る時は横座りか正座
- ソファでくつろぐ時も足の向きに注意
- 共有スペースでは特に意識する
正しい座り方
- 椅子:両足を床につけて座る
- 床やソファ:横座り、正座、またはあぐら(足裏を隠す)
- クッション:足を横に流すか、正座
8. 値段交渉で失礼な態度をとる
スークの値段交渉文化
モロッコのスーク(市場)では値段交渉が当たり前。これは文化の一部であり、楽しいコミュニケーションでもあります。
やってはいけない交渉術
NGな態度
- 商品や店主をバカにする発言
- 投げやりに値切る(「半額にして」など)
- 怒ったり声を荒げる
- 他の店と露骨に比較する
- 途中で無視する
正しい交渉の進め方
- 商品に興味を示す:「これ、きれいですね」
- 価格を確認:「いくらですか?」
- 笑顔で交渉開始:「もう少し安くなりませんか?」
- 段階的に価格を詰める:急激な値下げは求めない
- win-winの着地点を見つける:双方が満足できる価格で
交渉のコツ
- 時間をかける:急がずじっくりと
- ユーモアを忘れない:笑いがある交渉は成功しやすい
- 感謝の気持ちを示す:「ありがとう」を伝える
- win-winを心がける:一方的な値下げは求めない
9. チップを払わない・相場を大きく外す
モロッコのチップ文化
モロッコではチップは重要な文化。サービス業で働く人たちの大切な収入源でもあります。
チップが期待される場面と相場
レストラン・カフェ
- 一般的なレストラン:会計の10%程度
- 高級レストラン:10-15%
- カフェ:5-10MAD程度
ホテル
- 荷物運び:20-50MAD
- 清掃サービス:1泊につき20-30MAD
- コンシェルジュサービス:50-100MAD
交通
- タクシー:お釣りの小額分
- 大型タクシー:10-20MAD
- 観光ガイド:半日100-200MAD、1日200-500MAD
その他
- 公共トイレ:2-5MAD
- 写真撮影を頼んだ時:10-20MAD
- 道案内をしてもらった時:10-20MAD
チップの渡し方
- 直接手渡し:握手と一緒にさりげなく
- 笑顔で:感謝の気持ちを込めて
- 「シュクラン(ありがとう)」と一緒に
- 小額紙幣・小銭で:お釣りが出ないように準備
10. 公共の場での過度なスキンシップや大声
公共の場でのマナー
モロッコは家族やコミュニティのつながりを重視する文化。公共の場では控えめで上品な振る舞いが好まれます。
避けるべき行動
スキンシップ関連
- カップル間でのハグやキス
- 肩を組んで歩く
- 過度な身体接触
音量関連
- 大声での会話や笑い
- 携帯電話での長時間通話
- 音楽を大音量で流す
その他
- 公共の場での飲酒(イスラム教では飲酒は禁止)
- 人前での着替えや化粧直し
- 道端での食事(歩きながら食べることも含む)
適切な振る舞い
- 落ち着いた会話:声のトーンを抑えて
- 上品な服装と態度:品格を保つ
- 現地の人の行動を参考に:周囲を観察して合わせる
- 公共の場では節度を保つ:私的な行動は控える
カップル・友達同士の旅行での注意
写真撮影時
- 肩に手を回す程度にとどめる
- キスやハグのポーズは避ける
- 周囲に人がいない場所で撮影
宿泊施設選び
- 部屋では自由に過ごせる
- 共有エリアでは控えめに
- リヤドなど家族経営の宿では特に注意
知っておくと役立つ追加のマナー
食事のマナー
手で食べる文化 モロッコではパンやクスクスを手で食べることが一般的。右手の指先を使って上品に食べましょう。
共有料理のルール 大皿から取り分ける時は、自分の正面の部分からのみ取る。他の人の前の料理には手を伸ばさない。
宗教的配慮
ラマダン期間中 断食月の期間中は、日中の飲食を人前では控えるのがマナー。レストランは夕方から営業することが多い。
金曜日の配慮 金曜日の昼過ぎは礼拝の時間のため、多くの店が一時的に閉まります。観光プランに余裕を持たせておきましょう。
地域別の特別な注意点
マラケシュ
観光都市として発達しているため比較的寛容ですが、旧市街(メディナ)では伝統的なマナーを特に意識しましょう。
フェズ
最も保守的な都市の一つ。特に宗教的な場所が多いため、服装や行動により注意が必要。
カサブランカ
モロッコで最もモダンな都市。比較的西欧的な価値観も受け入れられていますが、基本マナーは同じ。
シャウエン
山間の小さな町。観光客に慣れていますが、地元の人々との距離が近いため、より親しみやすいマナーを心がけて。
トラブルになった時の対処法
文化的誤解が生じた場合
- すぐに謝罪:「アーシフ(すみません)」
- 悪意がなかったことを伝える:ジェスチャーでも可
- その場を離れる:状況が悪化する前に
- ホテルスタッフに相談:仲裁や説明をお願い
言葉の壁がある場合
- 翻訳アプリ:Google Translateなどを活用
- ジェスチャー:謝罪や困った様子を表現
- 写真や絵:状況を説明する助けに
- 周囲の人に助けを求める:観光客に理解のある人も多い
まとめ|文化の違いを楽しみながら旅をしよう
モロッコでやってはいけない行動10選、いかがでしたか?
一見すると「制約が多い」と感じるかもしれませんが、これらのタブーはすべて文化や宗教を尊重すれば自然と守れることばかりです。「知らなかった」でトラブルになったり、現地の人との関係が悪化したりするのはとてももったいないですよね。
文化を尊重することのメリット
- 現地の人との良好な関係:マナーを守ることで信頼を得られる
- より深い文化体験:表面的な観光を超えた体験ができる
- 安全な旅行:トラブルを未然に防げる
- 心からの歓迎:礼儀正しい旅行者は大歓迎される
- 素晴らしい思い出:相互尊重に基づく出会いは一生の宝物
女子ひとり旅での特別なメリット
特に女性の一人旅では、これらのマナーを守ることで
- 現地の女性から親しみを持ってもらいやすい
- 家族連れからの信頼を得られる
- より安全に旅行を楽しめる
- 「日本の女性は礼儀正しい」という良い印象を与えられる
最後のアドバイス
完璧を求めすぎる必要はありません。間違いを恐れて萎縮するよりも、「相手を尊重したい」という気持ちを持って行動することが一番大切です。
モロッコの人々は基本的にとても温かく、外国人旅行者に対して寛容です。マナーを意識しつつ、モロッコの美しい文化、美味しい料理、そして人々の優しさを思いっきり楽しんでくださいね!
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