モロッコ旅行での楽しみのひとつは、スーク(市場)でのショッピング。色とりどりのバブーシュやスカーフ、銀食器などなど…。見ているだけでワクワクする雑貨が並んでいます。
でも実はモロッコには、もっと珍しい”お土産”があるんです。それが——化石!
5億年前の太古の生き物が眠るモロッコで、アンモナイトや三葉虫の化石は、モロッコならではのお土産として観光客にも人気があります。今回は、あまり知られていない「化石のお土産」の魅力を、ご紹介します。
なぜモロッコに化石が?地質学的背景をさらっと解説
5億年前のモロッコは海の底だった
実はモロッコ、特にアトラス山脈周辺は、古生代(約5.7億年前〜2.45億年前)には海底でした。この時代に繁栄していた海洋生物たちが化石となって残っているのです。
主な化石の時代
- 三葉虫:約5.7億年前〜2.45億年前の古生代に繁栄
- アンモナイト:中生代(約2.5億年前〜6600万年前)に生息
- ウミユリ:古生代から現代まで生息(化石は古生代のもの)
世界有数の化石産出国
モロッコは「化石の宝庫」と言われるほど多種多様な化石が出土します。特にエルフード周辺では、化石の採掘や加工・販売が街の一大産業になっているほど。
世界中の博物館や化石コレクターの間でも「モロッコ産」として知られており、その品質の高さは国際的に認められています。
化石の産地はサハラ砂漠への道中に
道中で見つける化石マーク
モロッコ旅行で多くの人が訪れるサハラ砂漠。その道中、山の中腹にアンモナイトの絵や矢印が描かれた場所を見かけます。
山の斜面にアラビア語で「ここで発見された」という文字とアンモナイトのマークが書いてあり、化石の産地であることがひと目でわかるんです。

私はいつも車窓から眺めているだけで写真に残せていないのですが、アンモナイトのマークがある山は道中いくつも見られるので、訪れる方はぜひ探してみてください。
サハラ砂漠へ向かう途中で見かける「化石採掘場」の看板
サハラへ向かう道沿いには、こんな看板を目にすることがあります。
フランス語で「La carrière des fossiles(化石採掘場)」と書かれていて、まさにこの辺りが世界有数の化石の産地であることを物語っています。


道路沿いの化石ショップ
道路沿いを走っていると、ところどころに 「化石ショップ」 が現れます。お店の前にはアンモナイトや三葉虫を加工した置物やアクセサリーが並び、思わず車を止めて覗きたくなる雰囲気。
こうしたショップの面白いポイントは、ただ化石を売っているだけじゃないところ。
- 石に水をかけると模様がくっきり浮かび上がる
- アクセサリーサイズから机に飾れる大型標本まで、バリエーション豊富
- 店主によっては、化石の見つけ方や採掘のコツを話してくれることも
中には観光客向けのお土産感覚のものもあれば、本格的なコレクターが喜ぶような一点物まであり、眺めているだけでもワクワクします。
砂漠の途中で出会う不思議なショップは、まさに旅行者を 「太古のロマン」 へと誘ってくれる存在です。

エルフード|化石の街を歩いてみよう
化石産業の中心地エルフード
砂漠の近くにあるオアシスの街エルフードでは、化石の採掘や加工・販売が街の一大産業です。まさに「化石の街」と呼ぶにふさわしい場所。
エルフードの魅力
- 街中に化石ショップが点在
- 実際の採掘現場を見学可能
- 職人による化石の加工工程を見られる
- 足元に埋まっているアンモナイトや直角貝を発見できることも
実際の採掘現場へ
化石の採掘場を示す標識に従って山を登ると、実際に化石が採掘されている現場を見ることができます。ただし、勝手に持ち帰るのはNG。地元の人々の貴重な収入源でもあるので、見学にとどめましょう。
サハラ砂漠での化石との出会い
ベルベル人との化石取引
サハラ砂漠でキャメルライドを楽しんだ後、案内してくれていたベルベル人のお兄さんに化石を勧められたことがありました。
見せてもらったのは、三葉虫やアンモナイトなど、大小さまざまな化石。中にはアンモナイトをはめ込んだ小物入れまでありました。

値段を聞いてみると、なんと 300ドル!
私にはちょっと手が出ない金額ですが、それだけ“本物”としての価値があるということだと思います。
化石は地元の人々にとって大切な観光収入のひとつ。サハラ砂漠でのキャメルライドや砂丘の体験とあわせて、まさに「これぞモロッコ」という思い出を形にしてくれる存在です。
本物?偽物?モロッコの化石の見分け方
観光地には“贋化石”も
マラケシュなどの観光地では、トカゲやサソリの「化石」が並んでいることがあります。実はこれ、石膏で型をとったものを石に張り付けただけの贋作。残念ながら観光客向けに売られているものの中には、こうした“偽物”も多いのが現実です。
簡単な見分け方のコツ
怪しいポイントはこんな感じ
- あまりにも完璧すぎる保存状態
- 同じ形の化石が大量に並んでいる
- 異常に安い価格
- セメントっぽい質感
逆に、本物の化石には
- 自然な欠けや風化がある
- ずっしりとした重量感がある
- 母岩(周りの石)との境界が自然
- 古くからある店や、砂漠沿いの小さなショップの方が本物率が高い
「旅の記念」として選ぶのもアリ
とはいえ、観光地で売られているものが全部ダメというわけではありません。たとえ偽物でも――
- インテリアとして十分魅力的
- 会話のネタになる
- そして何より「モロッコで買った」というストーリーが価値になる
だからこそ、「真贋にこだわりすぎず、気に入ったものを選ぶ」 のが一番おすすめです。旅の思い出としてなら、どんな化石でも唯一無二の宝物になります。
価格相場と交渉のコツ
化石の価格帯(モロッコ現地相場・2025年現在)
※注意:現地価格は交渉次第で大きく変動します。日本国内での相場とは異なります
小さなアクセサリー
- 三葉虫ペンダント:300円〜1,000円(現地交渉後価格)
- アンモナイトピアス:500円〜800円(現地交渉後価格)
中型の標本
- 手のひらサイズ三葉虫:1,500円〜8,000円(品質により大きく変動)
- アンモナイト(10cm程度):1,000円〜5,000円(現地交渉後価格)
大型の標本
- 大きな三葉虫(15cm以上):10,000円〜50,000円(本物の場合)
- テーブル天板用アンモナイト:20,000円〜(サイズ・品質次第)
☆☆モロッコでの化石購入にはちょっとした注意点もあります。
- 観光地のショップはやや割高
同じアクセサリーでも、エルフードやリッサニ周辺に比べてマラケシュやフェズでは価格が高めに設定されていることが多く、1,000〜3,000円で売られている場合もあります。 - 大型化石は偽物も多い
特に15cmを超える三葉虫や、テーブルに使えるアンモナイト板などは、セメントで固めた贋作が混ざっていることもあるので要注意。本物を狙うなら信頼できるショップやガイド経由での購入が安心です。 - 日本国内との価格差
同じ1cmの小さなアンモナイトがモロッコでは500〜800円程度でも、日本では1,500円前後で販売されることも。相場を知っておくと交渉しやすく、納得して買い物できます。
値段交渉のポイント
基本の交渉術
- 最初の提示価格は3〜5倍が相場
- 興味はあるが高いという姿勢を見せる
- 現金払いを交渉材料に使う
- 複数購入で割引を狙う
- 最終日近くは売り手も譲歩しやすい
まとめ|化石はモロッコならではのユニークなお土産
スークでのお買い物も楽しいですが、「化石をお土産に買った」という体験はモロッコ旅行ならでは。
本物か偽物かにあまりこだわらず、自分が気に入ったものを「旅の記念」として選ぶのが一番です。そのとき感じたワクワクした気持ちや、店主との交渉の思い出こそが、何よりも価値あるお土産になるはずです。
モロッコに訪れる際は、ぜひ”化石”というユニークなお土産にも目を向けてみてください。5億年前の生き物があなたの旅を、きっと特別なものにしてくれるでしょう。
素敵な化石ハンティングを楽しんでくださいね!
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